Kも始めたばかりの時は正直困った。雑誌などで評判の良いものを買ったまではいいものの、使いこなすことが出来ないためにまったく釣れず、挙句の果て早々にロスト。こんなことを繰り返し今に至っているため、だいぶ散財しているのではなかろうか。とてもカミサンには言えない過去の1つだ。
今となれば「ああすればよかった」「こうすればよかった」と思えるが、当時はエギの選択について具体的に指南するサイトを見つけることができず、おかげで随分と回り道をした。
そこで、不肖K、このサイトをご覧の初心者(に近い方)のために、Kが考える最適なエギの見つけ方・使い方をお知らせしたい。参考になれば幸い。
自分の釣り方(キャストからシャクリ、フォールのさせ方等)に合わせてエギを選択するのが最適な方法であることは誰でもわかることだが、これが言葉にする以上に難しい。というのも、エギはロッドやリールに比べても多くのメーカー(ダ●ソーの100円エギも含)が世に出しているため選択肢が限りなく広がっているためだ。言うならば、何万人といる異性の中からベストパートナーを選ぶ結婚と一緒だ。こう考えると運命や偶然に近い形であることはよくわかる。だが、いつかは結婚できる。焦らず気長に考えよう。
●メーカー専属のテスターの釣法を参考に
エギングの釣法は数あれど、アタリの取り方で分けると次の2パターンとなる。ラインスラックを生かしてエギを跳ね上げ、海面に漂うラインの動きでアタリをとるスラックジャーク系。細かくシャクリを入れてイカを誘い、張ったラインの振動でアタリをとるショートピッチジャーク系。まずは、自分が普段どちらを多用しているのか把握することが大切だ。
これがわかれば後は簡単。自分と同じ釣り方をするテスターが所属するメーカーのエギを使えばよいのだ。これでほぼ間違いは無い。例えば、エギング界の重鎮・重見氏が所属するエバーグリーンが販売している「エギ番長」は重見氏が得意とするスラックジャークに完全対応したエギである。また、カンジインターナショナルが販売している「プロスペック」も人気テスターこぢこぢ氏(今は業界から身を引いたようだが)のフリーフォールスラックジャーク(原型は重見氏のスラックジャーク)に対応したものとなっている。共にエギの潜航角度は50°程度。沈下による移動距離を最小限とするよう設計されている。
対して、業界を代表するエギンガー・山田ヒロヒト氏が主としているショートピッチジャークからのフォールで食わせる釣法には同氏が所属するダイワが販売している「エメラルダスシリーズ」がやはり適している。ご存知の方も多いだろうが、エメラルダスはラトルを入れたエギとしては元祖である。ラトル音でイカをおびき寄せるだが、この音を効果的かつリズミカルに出すことができるのは必然的に同氏のような後者の釣り方となるだろう。
誤解しないでいただきたいのだが、どの釣法であっても使えないエギと言うのは今のところ存在しないと思っている。例えば「エギ番長」でショートピッチジャークも可能であるし、「エメラルダス」でスラックジャークも可能だ。ただ、自分の釣法とマッチングしたエギを使用することでエギとの相乗効果から釣れる可能性が高くなるということを言いたいだけであることはご理解いただきたい。
●同じメーカーのエギを使い続ける
Kは5年以上エギングをしているが、それでも1度や2度使用しただけでそのエギの特性・特徴などを完全に把握することはできない。エギに関する引き出しが多く、経験値が非常に高いテスタークラスでなければきっと難しいだろう。K程度のアングラーならまず不可能だ。
何が言いたいのかと言うと、これにしようと決めたエギが見つかったら暫く使ってみなければそのエギを使いこなすことはできないということだ。再びカンジインターナショナルの「プロスペック」を例に出すが、スラックジャークの持ち味である“少ない移動距離”に対応するため潜航角度が50°付近になるよう設定されているのは前述のとおり。潜航角度が大きいということはフリーで落とすとエギの姿勢は直角に近いものとなり、テンションフォールでもやや水平に近い角度にはなるものの、完全に水平姿勢を保つことは非常に難しい(できないことはないが)。エギングで遭遇する場面の1つとして、水平に近いエギをよく抱くということがあるが、プロスペックをある程度使いこなしていなければ、どのぐらいのテンションをかけ、どのぐらいのロッドワークであれば水平に近くなる、ということはわからないだろう。
上記はほんの一例であり、他にも異なる特徴を持ったエギは無数にある。それぞれの特徴をしっかりと把握するのに少なくとも1シーズンはこれと決めたエギを使い潰すつもりで投げ続けて欲しい。「石の上にも一年」だ。きっとシーズン後半には見えるモノ感じるモノが違うはずだ。
●サイズの話
結論から言えば、よほど初期のロリイカを釣るのでなければ通年3.5号だけで十分だろう。アオリイカは自分よりも大きいエサは捕食しないと言われているが、明らかにエギよりも小さいイカを釣った経験もあるし、3.0号を使用している仲間の釣果と比較した時もそれほど大きなアドバンテージを感じたことは無い。
前述した内容につながることだが、エギの姿勢・沈下速度を体で覚えるには同じ号数のエギを使用し続けた方がはるかに覚えやすい。このことからも初心者ほどエギを細分化して使うことは避けた方が良いと言える。
●下地のテープカラー
一般的には天候に合わせてエギのカラーを選んだ方が良いとされている。諸説あるが、まずはその一般的な説を紹介しよう。
・晴天時 ナチュラル系(銀テープ・スケルトン等)
・曇天時・夜間 アピール系(金テープ・ホロテープ・赤テープ等)
上記はあくまで下地のテープカラーのこと。これに各社工夫を凝らした布が巻きつけてあり、金テープだけでも全メーカーを集めると数十種、数百種とある。思わず「嫌がらせか!?」なんて考えてしまう。
そこで、ここでも声を大にして言いたいのは「同じメーカーのエギを使い続けろ」ということ。こうすることで数百種あったエギもせいぜい10個程度に絞られてくるので、そこから気になる柄のモノを選べばいいだけだ。なお、Kは布の柄はあまり気にしていないので、これに関しては何も伝えることが無いのが正直なところ。だが、布について少なからず調べたこともあるので次項に記しておく。
●布カラーについて
海では保護色のブルーが意外にも視認性が良いと言われているし、科学的にも証明されている。しかし、これは10m程度の水深がある場所での数値であり、Kのメインフィールドを含む関東エリアでこれほどの水深がある場所は非常に少ないので、まったく当てはまらないと言ってもよい。シャローエリアであれば結局どのカラーを選択しても横一線なので、シャローが主なフィールドであれば布のカラーにこだわる必要はないのではなかろうか。
違う理由になるが、重見氏はピンク・オレンジ系しか使用しないらしい。「いろいろ考えるのが面倒であるし、イカがそこに居れば釣れるし居なければ釣れない。」とのこと。実に潔い考えだ。だが、それでも同氏は釣っているのだから、このことからも布のカラーはそれほど影響しないと考えても間違いではないと思う。
●ディープタイプ不要論
これはあくまでシャローエリアがホームというアングラー中心の話。単純なことなのだが、現場でチューニングできるか否かということなのだ。シャロータイプに関しては、持っていないと現場でシンカーに穴をあけることはできないので事前の用意が必然となる。ノーマルタイプを持っていればノーマルとして使用することも可能であるし、シンカーを装着することでディープタイプともなる。だが、ディープタイプは現場で削らない限りシャローに対応させることは難しい、というより不可能だ。だからKはディープタイプを1本も持っていない。これで困ったこともまったく無い。
以上を参考に自分に合った最適なエギを見つけてもらいたい。釣り方によって「こうした方が良い」「ああした方が良い」と具体的にアドバイスすることも不可能ではないが、人に教えてもらって見つけるよりも、自分で苦労して探した方が格段に釣れた時の感動は大きい。きっと益々エギングが好きになるはずだ。Kがそうであったように、これを見てくださっている同志にも同じ感動を味わってほしい、そう切に願っている。